認知行動療法について

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うつ病の治療においては、休養・薬物療法が基本であるのは言うまでもありませんが、回復期においては精神療法を組み合わせながら治療していくことが有効であることがわかっています。うつ病に対する主な精神療法としては、認知行動療法や森田療法・対人関係療法などが挙げられますが、今回は、認知行動療法についてご説明いたします。

 

 認知行動療法とは、認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法の一種であり、認知というのは、ものの受け取り方や考え方という意味です。私たちは、出来事や状況によって気分や感情が引き起こされ、それに伴って行動をしている、と思いがちですが、実際には感情や行動は、その出来事や状況を「どう考えるか、どう受け取るか」という認知の影響を受けています。

 

 たとえば、上司が何度注意をしてもミスを繰り返す部下に対して、イライラしたり、つい大きな声をあげてしまうような場合、その部下の態度がイライラや大声を出す直接の原因なのではありません。「ミスをしたら次から気をつけるべきなのに」とか「上司から注意をされたら態度を改めるべきだ」といった上司の認知と、実際の部下の状況の間に大きなギャップがあることが原因となっているのです。

 

 多くのうつ病の方の場合、常に「絶対失敗してはいけない」とか「人から嫌われてはいけない」といった考え(=認知)が自動的に働き、それが憂鬱な気分や意欲の低下を引き起こしているということがあります。このような方に対して認知行動療法では、自動的に働く歪んだ思考パターン(「スキーマ」といいます)に自ら気づいて修正するように働きかけ、感情や行動を変化させていく援助を行います。その具体的な方法については「うつ病の認知療法・認知行動療法」(厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業)をご参照ください。

 

 この認知行動療法の考え方は、うつ病をはじめとした精神疾患だけではなく、私たちの日常生活の場面においてもストレスを軽減してくれる役割を果たしてくれます。何かうまくいかないことがあって、日々ストレスをため続けているような時、ちょっと角度を変えて捉えなおすだけで楽になることがあります。とはいっても、自分自身の歪んだ認知にはなかなか気づきにくいものですので、誰かに話しをきいてもらったり、日記をつけてみることも良いかと思います。ぜひ試してみてくだい。