創立50周年記念誌 幸せな未来をつくる対話の力
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37コスト・パー・ハート 知恵や情報にお金を払うという感覚がなかった時代に、新しいビジネスを創り出し、世の中に提供していくことは簡単ではありません。スポンサー探しにも壁がありました。企業側に女性経営者の話を受け入れる素地がなかったのです。女性が社会に有意義なことをするのは「ボランティア」という発想でした。 電話による相談は1対1のため、話せる人の数は限られますから、コスト・パー・ヘッドは非常に高くなりナンセンスだと言われ続けました。そこで今野は“コスト・パー・ハート”という言葉を創ったのです。どのくらい相手の心に深く刻みこまれたかという深度ではかるべきものだと訴え続けたことで、理解を示す経営者が少しずつ現れました。 どんなピンチもチャンスととらえ、気概をもって立ち向かうベンチャースピリッツを持ち、「here now(自分がここにいる意味)」を考え、社員と共に前に進んできました。 ダイヤル・サービスと、生活科学研究所で働いた社員は、「ここでなら思い切り仕事ができるのではないか」と、厳しい入社試験を乗り越えて入社しました。筆記試験はもちろんのこと、ワープロもない時代に、テーマだけ与えられ、企画作成とプレゼンテーション、応募者同士のディスカッションを数日に渡り課されたのです。そして入社するとすぐに「創意なきものは去れ!」という今野の言葉に迎えられました。ここで働くものとして、自由に新しい流れを創り出せる幸せと同時に、それができているか、いさめるようにいつも傍らで響いている言葉です。 仕事を自由にやらせてくれる会社です。何か新しいものを創りたいという社員それぞれが、自分の思いやアンテナにひっかかるテーマを追っていました。今もその精神は続いており、自ら提案していけば、「いろいろと新しい仕事をやらせてもらえるし、成果が出れば評価もされる会社」だと理解されています。 「無理だよ」とか「過去にこだわる」ということはなく、やるためにはどうすればよいか、自由にものを言う関係が当たり前でした。上下関係というより先輩・後輩の関係、意見を言い合う関係、反対意見が言える関係です。2000年初め頃までの組織は、事業を創る営業社員と、相談員グループが一体となった事業部制のような組織でした。相談員の力はとても強く、営業社員が心許ないと、「どこを見て仕事をしているのか」と喝が入りました。営業社員は事業を作り上げる過程で、その運営、採用、相談員研修、広報を幅広く経験することになります。その経験が、どこにもなかったサービスを提案し、結果が見えないことに足を踏み出すことも怖くない、という人材を育てました。創意なきものは去れ!やっていいよ、やってごらん

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