創立50周年記念誌 幸せな未来をつくる対話の力
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31音声をモニターしながらメモでアドバイスすることもあれば、必要な情報を即座に探しだすことも。電話相談はグループの共同作業なのです。 当社の電話相談は1回の相談で終了するのが基本です。一期一会です。しかし、例えばメンタルヘルスの窓口には、何度もかけてきて毎回同じ話をする相談者がいます。相談員は以前も聞いたことのある話を、初めてのように丁寧に聴いていきます。また、高齢者見守りの窓口では、一人暮らしの高齢者の安否確認をします。今日の天候や予定、離れて暮らす家族のこと、趣味の話など交えながら体調を確認し、まるで家族のように会話します。「話し相手がいないので、今日、初めて人と話しました」という高齢者も少なくありません。相談者は、電話を介して相談員とつながります。ともすれば孤立しがちな生活の中で、大切な「居場所」となっているのです。5.孤立を防ぐ「居場所」をつくる 高2の彼は、「成績も悪くクラスの連中から蔑まれるのは、親の貧乏のせいだ」と繰り返した。「厄介だね、大変だな」と受け止めながら、興味や将来の話題に広げるうちに、彼は孤独感から抜けだしていく。やがて、提案を素直に冷静に受け入れられる時間に変わる。新聞配達で奨学金を得る手段もあると伝えると、翌日から早朝の新聞配達を始めた。やがて、自力で得たお金で塾に通い、大学に進学し、締めくくりに彼自身の写真と礼状が届いた。 ほとんどの子どもたちは、親にも先生にも親しい友人にも知られずに、自力で解決したいのが本心。相談員は、相手の気持ちをゆっくりと受け止め、コミュニケーションを深めながら対話をすること。そして、試みたときのリスクを伝えながら、拒否や選択ができるように提案をする。 子どもたちの相談ツールは、電話からメール、SNSへとその比重は移っている。でも、つながりたい気持ち、知られずに解決したいことは少しも変わっていない。そうした心情と溶け合いながら対話し合う日々である。 当社顧問/西宮嗣子どもの相談と相談員の姿勢Columnイラスト/しおたまこ

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