「ホットライン通信」200号記念誌
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Self-care for Mental Health様々な相談を受けているダイヤル・サービスのハラスメント電話相談の窓口には、「なんとなく嫌だったんだけど」という切り口で始まる相談があります。いわゆる「ハラスメント」には該当しそうにありません。ただ、「ちょっと気に食わない」という話です。人は、嫌な気持ちになった、何か釈然としない、腑に落ちない、そんな気持ちをそのまま受け止められないと、何らかの理由をつけて論理的に理解しようとします。すると、「相手の行為はハラスメントだ。自分が嫌な気持ちを抱いたのは正当なことだ」という結論を導き出す必要性が出てしまいます。ですが、必ずしも「誰かが自分を嫌な気持ちにさせた=自分はハラスメントを受けた」ということにはなりません。企業では、マインドフルネス研修が流行しています。マインドフルネス研修では、この「なんとなく嫌な気持ち」を「なんとなく嫌だな」と、ただ受け止める訓練をします。これは、感情を感情のまま受け止め、その是非を問うたり、論理づけたりしない行為です。感情を軽視せず、感情と論理を同じくらい大切に扱う練習でもあります。感情を論理的に分析する行為により、理解が早まり、受け止めやすくなることもあるでしょう。怒りの感情を冷静に表出するためには必要な行為となることもあります。ただ、「なんとなく嫌だった」という「なんとなく」を、そのまま受け入れる方が良い場合もあります。非論理的な感情を受け入れることができないと、なんらかの理由を探して自分の感情を正当化します。自分を正当化するために、相手の落ち度を探そうとするのは、自分をおとしめる行為です。大切なのは、相手にも自分にも嫌なところがある。自分も相手を「ちょっと嫌だな」という気持ちにさせている。いわゆる「お互い様」という考え方を持つことです。時には、明確な悪意に対して、勇気をもって立ち上がらなければならないときがあります。自分自身の尊厳を守るための戦いです。いざというとき、立ち上がるために、常に全力疾走するのではなく、手を抜けるときは手を抜いておきましょう。ありのままに自分の感情を「そうか、嫌な気持ちになったんだね」と認め、そのまま手放してあげる。それだけで良いときもあります。論理的ではなくても、「だって、自分はそう感じたんだから」だけで十分なのです。2022年5月25日配信第164号200thAnniversaryMagazine32ありのままの感情を受け入れるメンタルヘルスのためのセルフケア

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