「ホットライン通信」200号記念誌
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new columnハラスメントにかかわる問題※この事例は特定の相談ではなく、さまざまな事例を再構成しています。私たち相談員は、主に電話で相談を受けています。電話では、相手の顔を見ることができませんが、声の調子や語り口調、息づかいなどから、相談者の気持ちや状態が伝わってきます。涙で言葉を詰まらせたり、怒りで声を震わせたり、不安や緊張でなかなか言葉が出てこなかったりしながらも、相談者は一生懸命、「想い」を伝えようとしています。そして私たちは、相談者の言葉にならない 「想い」を心で受け止め、報告書という形に変え、会社の担当者に伝えます。これは、相談者と企業を 「想い」でつなぐ作業です。今の時代、事実の聞き取りだけであれば、AIにもできるかしれません。しかし、この 「想い」をつないでいく作業は、心のある人間だからこそできる仕事ではないでしょうか(いつかAIにもできる時代が来るかもしれませんが)。「ホットライン通信」を通じて相談員の声を発信することで、ロボットでもAIでもない、生身の相談員の存在を感じていただければと思います。ました。そこで同僚の嫌がらせだと確信したのです。通報者は上司に相談をしました。ですが、「彼女は社内の女性たちからの評判もいいし、君(通報者)ともうまくいっているよね?勘違いじゃない?」と、聞く耳を持ってもらえませんでした。ハラスメント研修が積極的に行われるようになり、パワハラ6類型を知っている人も多くなりました。6類型に含まれるようなパワハラを受けた人たちは、声をあげたり、通報しやすくなったりしています。しかし、それらに含まれない嫌がらせに関してはどうでしょうか。どこまで客観的な判断をしてもらえるのでしょうか。通報者が言っていることが本当なのかどうかは、相談員が判断できることではありません。しかし、通報者が社内で相談した時、どのような小さな相談であれ、通報者の声に耳を傾け、「中立・客観性」を持って、訴えをまずは受け止めることが大切です。なぜなら、通報者にとって、問題の解決を求める以上に「状況を分かってくれる人がいる」というだけで救われる場合があるからです。「静かないじめなんです」ダイヤル・サービスの企業倫理ホットラインに入った電話で、通報者は突然つぶやきました。相談員に職場の人間関係の悩みをある程度話した後、その言葉を用意していたかのように発したのです。通報者の相談は、同僚の女性から、誰にも分からないように通報者の業務をやりづらくされるという嫌がらせの相談でした。彼女は通報者を人前でどなるわけでもないので、嫌がらせを証明する証拠は何もありません。無視するわけでもないし、仲間外れにもしません。しかし、通報者と彼女にしかわからない業務上のことに限って嫌がらせをしてくるのです。例えば「業務上の変更内容を伝えない」「嘘のミーティング開始時間を口頭で知らせる」など。通報者が間違えているように見えるだけなので、通報者自身も始めは気づかなかったそうです。しかし、このようなことがあまりに不自然に重なったため、通報者は記録を付け、慎重になっていたところ、事前にミスを防ぐことができるようになりホットライン通信で相談員の声を発信するということ2025年3月 ハラスメント・人間関係ホットライン相談員2022年11月25日配信第170号200thAnniversaryMagazine26職場での“静かないじめ”

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