「ホットライン通信」200号記念誌
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内部通報の意義200thAnniversaryMagazine ダイヤル・サービスの企業倫理ホットラインは、通報者の言いたいことや通報者がどうしたいのかを聴き取って、それを通報者が所属する会社のコンプライアンス担当部署に伝えるのが役目です。このとき、一番難しいのは、会社に何を、どう、伝えるかという、通報者への最終的な意思の確認です。通報の現場では「辞めることにしたから通報した」と言われることがあります。辞める覚悟を決めて通報したのであれば話は簡単です。通報者の伝えたい内容を聴き取るだけです。ところが、通報者にそこまでの覚悟がないとき、ことは難しくなります。通報者が恐れるのは、通報者探しをされることです。特に、ハラスメント通報の場合、通報者は、対象者(ハラスメント行為をした人)からの言動がより激しくなることや、報復されることを恐れています。そして、追い詰められ、辞めなくてはいけなくなる、という最悪のストーリーも通報者の中にあります。そのため、「辞めることになったら詳細を伝える」と言われることもあります。その場合、匿名通報になり、さらに対象者が誰だか分かると通報者が誰かも分かってしまうと言って、対象者の情報も伏せられてしまいます。それどころか、対象者が通報内容を知ったら、誰が通報者か分かってしまうと言って、内容さえも漠然としか伝えないということもあります。一方で、通報者は、「もう我慢できないから通報した」とも言います。すでに耐え切れなくなって辞める寸前ということでしょう。そうなであれば、名前を明かして会社に対応を求めてはどうかと思うのですが、通報者の気持ちはそう簡単ではありません。こういうとき、窓口担当者は、通報者の気持ちを尊重しつつ、同時に、せっかく通報してきたのだから、会社に対応を求めてはどうかと勧めます。担当者:このまま我慢していて、何とかなりますか。通報者:なりません。担当者:結局、追い詰められて、辞めざるを得なく なるといったことになりませんか。通報者:…そうですね。担当者:では、会社に名前を明かして、守ってもら いながら、何らかの対応をお願いしては どうでしょうか。通報者:怖くて言えません。担当者:会社からは、あなたを守りながら対応し てくださると伺っています。ここから先、通報者の言うことは様々です。「対象者は、コンプライアンス部に知り合いがいるので、通報者のことが対象者に伝わってしまう」「対象者は、上層部に受けが良いのでもみ消される」「以前、同じように対象者を訴えた人がいるが、大した対応はされなかった」「通報した人がいるが、通報者探しをされていた」、等々。通報者の言いたいことは、要するに、「会社を信頼できないので、名前を明かせない。対象者についても言えない。詳細も伝えられない」ということです。通報者は、本来は「助けてほしい。辞めたくない」と思っているのですから、通報することで辞める覚悟をしなくてはならないのであれば本末転倒です。通報者がいつも正しいわけではありませんが、少なくとも辞める覚悟をしなければ通報できない窓口であってはいけません。私たちは、通報者が勇気をもって会社に対応を求めることができるよう、支えていきたいと思います。 2020年9月25日配信第144号22通報者の揺れる気持ちを支える

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