Importance of Whistleblowing会社にコンプライアンスに関する内部通報があった場合、その内容が重要ですが、同時に誰が通報したのかも気になるのではないでしょうか。例えば、会社から「通報が入った」という連絡を受けたある部長が、社員食堂で食事しながら「誰が通報したんだ…」と、無意識のうちにつぶやきました。それを、後ろの席で食事していた人に聞かれてしまいました。聞いた人は、部長が通報者探しをしていると受け取ったかもしれません。さらに、その人が「誰かが内部通報したらしい」と周囲にふれ回れば、通報者探しが自然に始まることにもなりかねません。内部通報では、通報者の保護が最優先されるので、匿名希望の通報者を探すことはできません。この部長のつぶやきは、大変にリスキーだと言えます。通報窓口担当者も気を付けなければいけません。例えば、通報者は名前を明かしたが、話の中で「こう感じているのは私だけではないんです。皆で話し合って、誰かが通報しなければ何も変わらないから、私が代表して通報しました」と言った場合はどうでしょうか。こう言われると、「ああ、あなただけじゃないんですね。同じ意見なのは誰と誰でしょう」と質問したくなりませんか。通報者は名前を明かしていますが、その他の人は名前を伏せたい可能性があります。その場合、この質問は通報者探しになってしまいます。また、通報者の話から、以前にあった匿名通報の内容を思い出して、「もしかして、前にも通報しましたか?」と、つい聞いてしまうかもしれません。通報者自身がそう言っていないのに過去の通報案件と関連付けて質問することは、通報者探しと受け取られかねません。 実際、ダイヤル・サービスの通報窓口には、通報者から「通報者探しをされた」「通報者が誰かわかってしまった」「通報者探しをされたという話を聞いた」「『通報したら誰が通報したかすぐにわかる』と、言われた」等の声が入ります。通報者による思い違いの場合もあるかもしれませんが、それでも、‘会社が通報者探しをしている’といった悪い評判が立つことは大きなリスクになります。「通報者探し」をしていると従業員に疑われないようにするために、匿名通報へどう対応するか、ということは簡単ではありません。対応中に、誰が通報者か分かってしまった場合でも、知らない振りをしなければ、通報者探しをされたと思われるリスクがあります。通報者には、もともと通報した後どうなるのかという不安や心配があり、疑心暗鬼になっています。そして、その不安や心配は、伝染しやすいものです。だからこそ「会社は『通報者探し』をしない」と信頼してもらえることが最も肝要です。その信頼感こそが、会社にとって大事な通報を得るための礎になると私たちは考えています。2018年7月25日配信第118号200thAnniversaryMagazine16内部通報における「通報者探し」というリスク内部通報の意義
元のページ ../index.html#18