「ホットライン通信」200号記念誌
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電話相談員のスキル「会社に報告するんじゃ、この窓口はなにも意味ないじゃないか!」このようにどなられたのは、ダイヤル・サービスの企業倫理ホットラインの仕組みを通報者に説明したときでした。通報者は「会社に伝えたら、もみ消されて終わりだ」「あんたたちから会社に指導できないなら意味がないだろ!」と憤りをあらわにしました。最初に「この窓口で相談してよい内容か分からないんですけど…」と震える声で話し始めたときには、緊張や不安が伝わってきました。そんな通報者が態度を一変させ、声を荒げて怒った原因は、通報者の不安の大きさを相談員である私が見誤って、より丁寧に窓口の仕組みを説明できなかったことにありました。そこで、その不安を拭うように、改めて窓口の仕組みを説明し直しました。すると通報者は、少しずつこれまでの経緯を話し始めました。通報者は長年にわたり、会社の業務上のリスクに声を上げ続けてきたものの、誰にも取り合ってもらえなかったそうです。その結果、実際に大きな問題が起きてしまったのでした。「だから言ってきたじゃないか」という思いとともに、自らの無力感に打ちひしがれていたようです。話を聞くにつれ、通報者の気持ちと強い不安を抱えていた理由が紐解かれていく思いでした。ここで、「これまでのことを会社に伝えたい思いもあるけど、こうして相談しても、また取り合ってもらえないんじゃないかと不安な気持ちもあるし…」と、通報者の気持ちを言葉にして伝えてみました。通報者はまるで、これまで一人で声を上げ続けてきた日々を振り返るかのように「そうですね…、そうですね…」と繰り返した後、名前を開示して会社に出来事を報告することに決めました。通報窓口に入った通報がいつもこのようにきれいにまとまるわけではありません。しかし、すべての通報者は、不安を抱えながらも勇気を出して状況を報告しています。相談員は、そんな通報者の不安に真正面から向き合いたいという思いで日々の通報を受け付けています。2024年9月25日配信第192号13通報者の不安と向き合う

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