Skills of Telephone counselorsダイヤル・サービスの企業倫理ホットラインには、日々、様々な悩みを抱えた人からの相談や通報が入ります。なかには、大きなストレスを抱え「会社に行きたくない」などと、ネガティブな感情を訴える人も少なくありません。ストレス要因は、身の回りのあらゆる箇所に潜んでおり、避けて通ることはできません。ストレスからくるネガティブ感情はあって当然です。大切なのは、ストレスによって起こったネガティブ感情から速やかに立ち直り、次の一歩を踏み出すことではないでしょうか。では、どうしたらネガティブ感情から立ち直ることができるのでしょう。皆さんは「レジリエンス」という言葉を聞いたことはありますか。レジリエンスとは、ストレスやプレッシャーから回復するための力を意味する言葉です。本来、環境変化に対する生態系の「復元力」を表わす言葉だったようですが、心理学で「逆境に適応できる精神力」として使われるようになりました。例えて言うと、低反発マットレスのように、外から加わる力に対して一時的にへこみますが、その後徐々に元に戻るイメージです。レジリエンスは新たに学んで身に着けるものではありません。人にはそのような回復力が元々備わっているものなのです。レジリエンスの高い人は、回復力(ミスをして落ち込んでも、すぐに元に戻れる心の柔らかさ)、弾力性(ショックに耐えて、跳ね返せる心のしなやかさ)、適応力(予期せぬ事態を受け入れて、合理的に対応できる力)、の3つの能力に優れています。そのレジリエンスを高めるには、1.「自分の弱点を克服するよりも、強みを活かすこと」2.「1人で戦うのではなく、適切なサポートを得ること」が効果的とされています。1に関しては、経営学者のピーター・ドラッカーが著書の中で、「何事かを成し遂げられるのは、強みによってである。弱みによって何かを成すことはできない」と書いています。2に関しては、心理学者のエミー・ワーナーが行った「カウアイ島研究」が有名です。カウアイ島研究とは、両親の不和、アルコール依存症、貧困などのハイ・リスク環境に生まれた子どもたちを、30年間にわたって追跡調査した研究です。多くの子どもが逆境を克服し、立派に成長していました。その子どもたちに共通して見られた要因の1つが、学校や社会で彼らを支えた人たちの存在です。このように、自分の強みを活かし、周りからのサポートを得ることで、レジリエンスを高めることができるのです。ストレスにさらされてネガティブ感情に陥ったときは、ぜひこのふたつを意識してみてください。2023年6月23日配信第177号200thAnniversaryMagazine12ストレス社会でレジリエンスを意識する電話相談員のスキル
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