8200thAnniversaryMagazineRole of Telephone Hotline企業倫理ホットラインでは、職 場で起きている問題についての通報や相談をお受けしています。通報・相談者の中には、現状に対して「どうすればいいのかわからない。どうしたらよいか」と訴える方や、会社に対して「どういう対応をしてほしいのかわからない」と言う方もいらっしゃいます。人はそのように問いかけられると、つい、何か答えを出してあげなくては…、という心境になってしまいます。私たちは「question」には「answer」があると思っています。そのため、答えの出せない質問に対しては、ごまかしたり、逃げたり、回避したりしてしまいがちです。ですが、通報・相談者は、必ずしも答えを求めているわけではない場合が多いと感じます。答えはなくてもいい、むしろ、「一緒に考える」ことが求められているのではないでしょうか。「一緒に考える」とは、「問いを共有し、それについて対話すること」と言われています。評価する側とされる側になったり、質問する側とされる側になったりすることなく、両者がその場において当事者になって対話することであり、対等なポジションでの活動です。双方が等身大になるからこそ、感情を正直に話すことができ、結果的に考えるということにつながるのでしょう。企業倫理ホットラインの相談員と通報・相談者の間に、上下・優劣・強弱・大小などは存在しません。相談員は、通報・相談者の問いに対して答えを出すよりも、「一緒に考える」ということを心がけます。相談員が「一緒に考える」姿勢を示すと、通報・相談者は対等なポジションであると感じるのでしょう。そして、自分の問題を一緒に考えてくれる人がいる、と感じることで安心感が生まれ、自分自身でも考えようとする力が湧いてくるのでしょう。相談員が、通報・相談者の心情に共感的理解を示しながら、一緒に考える。答えを導き出すのは相談員ではなく、あくまでも通報・相談者自身です。通報・相談者自身が導き出した答えを、相談員は支持します。なかなか答えを見いだせない方、自分自身で考えられない方はいます。そんなときは、答えを考えるきっかけとなるような問いかけをして、一緒に考える。それは何か意見やアドバイスをするよりも、ずっと難しいものです。相談員自身の経験値や価値観を捨てて、今、つながっている、この通報・相談者にとっての答えを一緒に考えながら、じっくりゆっくり待つ。通報・相談者が自分自身で答えを導き出した時、相談員として本当にうれしく感じます。「今日もまた、一期一会の通報・相談者と一緒に考えよう」そんな思いで電話を受けています。2022年2月25日配信第161号相談者と「一緒に考える」ということ電話による通報・相談窓口の役割
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