第22回CSRセミナー「ハラスメント防止への具体的取り組み」

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第20回 ダイヤル・サービス CSRオープンセミナー
「危機管理の観点からのハラスメント防止対策」
〜増え続けるハラスメントへの具体的な対応〜

「ハラスメント防止への具体的取り組み」

アデコ株式会社お客様相談センター 副センター長 飯田悦子氏 講師略歴
リゾートトラスト株式会社
総務部長 太田 泰紀氏

リゾートトラストの紹介と現状

 当社は名古屋に本社をおき、1973年に創業いたしました。10年前に東証・名証一部上場を果たし、売上はグループ27社連結で約1千億を達成しております。社員は約4000名、メイン事業がホテルレストラン等のため、パート、アルバイト含めて6000名ほどになります。主たる事業は、会員権事業、ホテルレストラン等事業、ゴルフ事業、そして今非常に力を入れているのがメディカル事業です。会員制リゾートクラブ業界では、市場占有率18年連続No.1として、トップを走り続けています。
 このように頑張ってはおりますが、であれば当然様々なひずみなどがあるのではないかと思われることでしょう。本日は差し支えない範囲で当社の抱える課題についてもお話できればと思います。実は現在の当社社員の平均勤続年数は6.4年。東証・名証一部上場して10年経っておりますが、勤続年数は2ケタにまだまだ遠い現状です。上場企業としてこの数字はいかがなものかというテーマに直面しています。
 会員権の価格は400~3,000万円以上です。そう簡単に日用品のように売れるものではありません。当然、会員権事業に携わっている営業マンはハードな労働環境下にあります。また、ホテルレストラン事業では、業界特有の事情として人材の流動性が高いということがありますが、特に当社はリゾートホテルであるという特殊性があります。お客様にとっての癒しとやすらぎの場所は、社員にしてみればとても不便な場所でもあります。ゴルフ事業も今の世の中では、運営が非常に難しいです。メディカル事業も大変です。検診だけとはいえ、人の命に関わりますので非常にセンシティブな問題が多く発生し、精神的なストレスは非常に高いです。介護事業は肉体的な問題もあります。また、お医者様との関係もかなり大変です。このような状況は、残念ながらストレスが生じやすい職場環境でもあるといえ、社員のメンタルヘルスへの配慮が急務な状況です。

ホットラインと内部通報

 ダイヤル・サービスさんには、ホットライン制度として2004年8月からお世話になっています。また公益者通報保護法に基づいて内部通報制度を設けています。社員の声を聞く制度として2本立てでやっているその中身をご紹介します。
 まずホットラインについては、社内で通称ブルーカードと呼んでいる、ダイヤル・サービスの電話番号が明記されたカードを配布しています。主として職場の悩み、人間関係、セクハラ、パワハラを社外カウンセラーに相談して解決を図っていくものです。相談者を職場の問題から救うものであり、あくまで相談者の意思を優先、相談者の意思に反して、会社、職場上司等に相談内容が知られることはありません。会社に知られずに相談できるという最大のポイントを前面に打ち出してホットライン制度を活用しています。当社と同規模の他社と比較すると、非常に利用されているという状況です。
 内部通報制度は通称グリーンカードと呼んでいるカードを配布しています。内容は主として法令規定に違反する行為、事実及びその疑い、関連があると思われる行為、事実を会社に通報するものです。会社を法令違反等のリスクから救うものであり、通報者の意思よりも事実の解決が優先します。
 当社のホテル配属の新卒社員は社会人となって初めて親元を離れリゾート地へ配置されたという状況ですから、やはり悩みを一人で背負ってしまうということがあります。実際にホットラインと内部通報には、人間関係の悩みや相談などが入り混ざっており、使い分けがうまくできていないような現状です。ですが、ものが言えない状況であることが一番よくありません。どんどん電話をするように、ということで運用しています。何でもいいから相談してくれればすぐに対応できるように、ダイヤル・サービスさんとは車の両輪のように一緒になって動いているという状況です。
 また、当社ではコンプライアンス委員会も設けています。外部委員には元東京地検特捜部の検事だった方に入っていただき、コンプライアンス研修を行っています。委員会で作ったポスターには「あなたの職場は、風通しがよいですか」という外部委員の先生にいただいたキーワードを載せました。このキーワードに相応しいキャッチフレーズを研修で全社員に考えさせ、一番良い言葉を社長が選びます。昨年は「あなたの言葉を出せる、あなたの言葉を大切にする組織を目指します」というキャッチフレーズが選ばれ、今年のポスターになりました。これを会社に掲示し、あわせてブルーカード、グリーンカードの案内をしています。

ホットラインの運用状況

 ホットラインの運用状況ですが、相談件数は多いと言われています。内容はやはり人間関係の悩みが圧倒的に多く、パワハラも増えています。圧倒的にホテル部門からの相談が多いのは、本社と離れて各ホテルにおりますと、本社の情報が現場まできちんと下りていないということがあるのでしょう。現場からすれば、本社に知ってもらうにはホットラインを活用せざるをえないということです。また、グループ会社からの相談が増加傾向です。グループ会社が増える度にブルーカード、グリーンカードを配っていますが、すぐに相談が入ります。グループ会社の皆様の期待にもどんどん応えていかなければいけない状況です。
 我が部署(法務課)の長所は相談へのスピーディーな対応です。どんな相談でも受け付けていますので、リアクションをよくすることで一応の信頼を得ています。対応内容では昨年は職場環境改善が一番多くなりました。特にコミュニケーション不足の部署には本社の人事部社員が現場へ行き、時間を取ってじっくり話を聞いています。2009年度は前年度までより総件数は減りましたが、「対応不能(匿名など)」や「様子見」という案件が減っているため、実質の対応案件は増えているという傾向です。

まとめ

 本音と建前が分離すると会社組織は崩壊すると言われます。非常に仕事がハードな会社ですので、ぎりぎりまで追い込まれますが、本音と建前の分離の溝が埋められる範囲内であれば何とかなります。本音と建前が完全に離れ、人の力でつなげなくなったらもはや組織ではありません。そんなことになっては絶対に駄目だと言っています。それ故、売るためだったら何でもやるというような、そういう局面に出合ったらむしろ内部通報してください、そういう手段でのコミュニケーションもありだとしています。本音と建前が極力ぶれない、もし離れたとしても軌道修正できるような組織運営、部下の育成を心がけ、その上で目標を達成しましょう、とお願いしている次第です。
 以上、リゾートトラスト株式会社のハラスメント防止への具体的取り組みについてお話させていただきました。ご清聴ありがとうございました。