第19回CSRセミナー「コンプライアンス・プログラム整備に向けた取り組み」

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第19回 ダイヤル・サービス CSRオープンセミナー
「CSR取組のいっそうの推進策を考える」
~CSR国際指針の到来を踏まえて~

「コンプライアンス・プログラム整備に向けた取り組み」

松田一隆氏 講師略歴
新生フィナンシャル株式会社
法務コンプライアンス本部長 松田一隆氏

当社を取り巻く環境

 私どもの会社は1964年に創業し、1998年に米国ゼネラル・エレクトリックキャピタルに買収され、2008年に新生銀行へ全株譲渡されるまでの10年間はアメリカ企業の100%子会社として業務を行ってきた歴史がございます。現在は新生銀行のコンシューマー・ファイナンスビジネスの一社という位置づけで、「レイク」ブランドという形で、無担保・無保証のリボルビングローンを販売させていただいている会社でございます。

 業界としては3つの法律、つまり貸金業法、出資法、利息制限法といったものを見ながらビジネスをやってまいりました。2006年には貸金業法の大きな改正がありました。2010年6月18日の完全施行により、多重債務問題の防止と同時に、信用供与体系の是正を目的としたというのが今回の改正です。影響ということで言えば、年収の3分の1を超える貸付の原則禁止というような厳しい法律になっております。一方、不当利息返還請求権というかたちで過払い金の請求が業者に対して起こってきており、この影響により法的救済を求めたり、廃業する企業もあるという状況です。
 当社は新生銀行の100%子会社として、銀行目線での金融庁との対応も必要になっています。その一例としてJ-SOXという内部統制対応を行っています。このように非常に込み入った法律環境であるため、一言で法令遵守と言っても、一体どこまでやれば十分法令遵守しているといえるのかというのが、日々我々に突きつけられている問題です。

 コンプライアンス態勢整備として、まずは業務プロセスの構築・改善、システム制御、社内規定整備といったハード面の整備が第一です。ですが業務の中では、個々のオペレーターがどのような対応をするかといったようなソフト面がますます大事になってきているという実感があります。個々のお客様のシチュエーションに則って、どういった対応が求められるかといった判断も必要になります。そのためには、この法律は何を言っているのか、この社内ルールは何を防止したいのか、といった趣旨がわかっていないと対応できません。オペレーターの対応によっては、金融庁へクレームが入ることにもなりかねません。そのためハード面だけでなくソフト面の教育というものに力を入れなければと感じています。法務コンプライアンス本部としては、法令の正確な解釈はもちろんのこと、いかにわかりやすい形で社員に伝えていくかがますます必要になっています。
 もうひとつ、貸金業法の違反は刑事罰も関わってきますので、会社としては当然違反を起こしたくないとなりますと、社員が業務上萎縮してしまう部分もあります。法律が厳しいが故に、私の責任ではここまでしかできないとか、すべきではない、という反応も出てきてしまうリスクを感じています。一番気をつけなければならないのは、社員のモチベーションです。お客様が何を欲していらっしゃるのかは、現場のオペレーターが一番知っていますから、そういった現場の生の声をいかに吸い上げて業務改善していくかということが大事だと思っています。ハード面整備の一方で、ボトムズアップといいますか、ソフト面で従業員から出てくる現場の判断力といったものがマッチしないと、一言で法令遵守といっても難しいと実感しています。

コンプライアンス・プログラムの取り組み例

 まず外部環境を意識するのが第一です。規制当局に見られていますので、深度は十分か、実践され、仕組みとして定着しているかといったことが、毎年の監督官庁の方々のご指導の発言に出てきていますので、そういった目線に立ってプログラム形成をしていかなければなりません。
 具体的にはPDCAの手法に習い、予防→発見→対応というサイクルでやっています。
 予防の実践としては、CSRも含めた倫理的な行動指針「私たちのインテグリティ~そのルールと精神~」という冊子を社員に渡して、毎年度誓約させるということをやっています。当然各種トレーニングや、コンプライアンス関係のメッセージ発信、アンケートということもやっております。また、業務委託先の企業に集まっていただき個人情報保護、当社の取り組み、規制環境の厳しさといったものについての勉強会であるサプライヤーセッションもやっております。部門横断的な役職者レベルの月次コンプライアンス事項の情報交換では、お客様の声で気づくことも往々にしてあり、そういったものを業務改善に役立てております。ブレインストーミング・セッションとは、社員をコンプライアンスに1日集中させる日を年に1回持たせ、職場ごとに上司をファシリテーターとして、疑問点、質問点を出させるようなセッションをやっています。
   発見の実践としては、クレーム・トラブル事項はデータベースで速報を回す仕組みを持っています。また、オンブズパーソンという社内の内部通報制度は当社の特徴的なところです。各部門のセルフチェックも発見予防につながり、それを対応に結び付けていきます。
 対応のところは、業務プロセス改善に始まり、顧客、株主、当局に対しての報告。懲戒処分審議というようなことも対応のひとつです。コンプライアンスリスク評価の実施のために各部門業務のリスク洗い出しや、他社事例や環境の研究ということもやります。情報を集めた上で、リスク評価をカレンダー化し、予防、発見、対応に分け、優先順位をつけています。

内部通報制度取り組み例:オンブズパーソン制度

 社内の内部通報制度の取り組みとして、オンブズパーソン制度というものがあります。社内の相談しやすい人をオンブズパーソンという形でヘルプライン窓口としておくというのが当社の考え方です。今社内には6名置いております。セクハラの相談などもないわけではありませんので、男女のバランスよく配置するよう心がけています。匿名を基本的に認めており、従業員の気持ちには十分に配慮しつつ、守秘義務の説明した上で、必要な情報がないと調査がすすまないことを丁寧に説明し、納得の上で調査に入るといったところに神経を使っています。チャネルは電話、WEB、メール、専用携帯電話、FAX等で対応しています。オンブズパーソンは広く社員の懸念を受け付けるのが任務です。相談者の側に立って配慮し、不安や本心に配慮しつつ調査側とコンタクトを取りながら慎重に進めていくという役割を担っています。
   ダイヤル・サービスさんには、社外受付窓口として2006年からお世話になっています。というのは、オンブズパーソンは社員のボランティアであり、それぞれ他に自分の仕事を持っており、時刻になれば家に帰りますから、夜間に電話をしても出ないということがあってはいけないので、社外受付窓口を持とうということになりました。
   制度を進める上での悩みですが、誰をボランティアでオンブズパーソンにしたらいいか、周知徹底が難しい、時間が割けるか、報告が上がってこなければどうするかなど、いろいろありました。社員から出た声として「報復があるのでは、と心配で報告できない」という生の声を大切にしようというのがこの制度で一番留意しなくてはいけないことだと思っています。

まとめ

 コンプライアンス、CSRは、会社が健全に成長していく上での欠くべからず基盤であり、最優先事項です。現場のエンゲージと会社の方針、ビジョンをしっかり出していくというのが大事だと思います。少しでも緩めると大変なことになりますし、優先事項であると同時に、日々継続的にやっていくべきものと理解したうえで、我々も苦しみながら取り組んでいるところです。どうもありがとうございました。