第18回CSRセミナー「パワーハラスメント最新事情」

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第18回 ダイヤル・サービス CSRオープンセミナー
「職場のパワハラはなぜ起こる?どう防ぐ?」
〜増え続けるパワハラへの具体的対応〜

「パワーハラスメント最新事情」

〜なぜ起きる、どう対処する〜

職場のハラスメント研究所所長 金子雅臣氏 講師略歴
職場のハラスメント研究所所長 金子雅臣氏

パワーハラスメントはなぜ起きる? うつ病との関係

 うつによる自殺などについて、労働災害をめぐる裁判が起こされています。その理由として、職場での人間関係、上司から仕事上のことで厳しく叱責をされたことなどがきっかけで進行していると訴えるケースが徐々に増えています。  最近は非正規雇用者の増加や、若い人の仕事に対する考え方の変化などによって、よかれと思って言っても受け取る側がそうは思わないというようなコミュニケーションギャップ、意識ギャップが生まれています。職場の人間関係がテーマになり始めたことが、そもそもパワーハラスメント(以下パワハラ)が労働問題になってきた経緯につながります。  昔は上司からの注意や同僚との喧嘩など職場の人間関係でいろいろあっても、それは職場の常識ともいえましたが、これが自殺となると「その程度のことで」とは言い切れなくなります。  パワハラは非常に幅の広い概念です。日常的に起きる問題、コミュニケーションギャップから深刻な人権侵害にもなることも視野に入れて、ある程度社内共通の理解をしておくことが必要です。

職場でおきるパワハラの3つの典型的なパターン

1.上司として逸脱した指導をする
俗に言う歩くパワハラみたいな問題です。相手がなかなか目標を達成できないとか、頑張っているのを認められず、独善性が指導をパワハラに変えてしまうことがあります。

2.双方にコミュニケーションギャップがある
言われた側は言われたことを深刻に受け止めているけれども、言っている側にはその意識が全くなく、本人のためを思って言っているようなケース。

3.言われた側が一方的に言われた意識を持ってしまう
被害者意識が非常に強かったり、プライドが非常に高かったり、自己意識が非常に高い人たちに起きます。

三つの解決方法

特にパワハラの場合は、できれば下記の三つのシステムの中で、解決するのが望ましいと思います。

1.通知による解決方法
 社内でパワハラについての相談者・被害者の申し立てや告発を、ある程度匿名性をもって当事者に伝えて気づかせるシステムです。地位の高い人などに対してはなかなか訴えられないので、通知は解決の手段になります。通知方法はいろいろありますが、部長クラスに通知するときには、社長も専務も同席してもらい、通知を受けたことを周囲にある程度知ってもらいます。「実はあなたにこういう苦情が出されていますよ」と通知することにより、本人自覚を促し、改めてもらいます。

2.調整という解決方法
 双方に誤解ある場合に、人事部などが間に立って公平に両方の立場から話を聞き、誤解を解いていき、円満な状態に戻す方法です。もう一度お互いに一からスタートしようと、間に入って調整するシステムです。

3.調停という解決方法
 両当事者の完全に違う言い分を調整するのはなかなか難しいので、上司など調停にあたる人がまず双方からヒヤリングをします。多少調停者の指導の意味合いも込めて、双方に改める点などを指摘し、調停者の意思をかなり前面に出して、折り合いをつけます。

調整、調停によりかなりの割合が解決

 パワハラの場合は勘違いや思い違いもあるので、交通整理が必要になります。いきなり調査に入らず、その前段階として調整や調停を行うようにします。つまり、行為者とされた人の言い分を聞き、話してもらう機会を設けます。
 そこでコミュニケーションの調整が済んで解決すれば、ある意味ではコミュニケーションギャップの問題として解決します。とんでもない人権侵害によって、相手がうつになっているようなケースであれば調査が必要かもしれませんが、概ねこのようなシステムを入れて行うと、6~7割はこの段階で解決します。解決に取り組むルールに通知・調整・調停の制度をシステムとして取り入れることにより、企業内で解決していってください。

パワハラ、セクハラのキーワードは、コミュニケーションと人権侵害

 問題は人格・人権を否定する言動にあるわけですが、人権侵害の概念は、実はパワハラになるとちょっと厄介です。同じことを言っても、パワハラになる場合とならない場合があります。パワハラの場合は、お互いのコミュニケーションギャップも含めて、ハードルはきわめて低いので、お互いの了解・合意というところからスタートします。

   セクハラやパワハラを考えるとき、言ったか言わないか、触ったか触らないかでジャッジしがちですが、人間関係という概念をきちんと入れてジャッジしてください。「このくらいはいいのでは」という程度問題ではなく、人権侵害すること自体がダメというのが、スタートラインです。  人権侵害という概念と家宅侵入罪の概念は、所有権と人権の違いはありますが、全く同じです。ですから家宅侵入罪の概念をきちんと頭の中に入れておけば、人権侵害も実はそんなに難しい話ではありません。

 仕事の実績や結果を出している人であれば、パワハラは起こさないはずです。人とのコミュニケーションがきちんとできていて、人の話や意見をよく聞き、言われたことについていろいろ考えられる人ならば、パワハラは起きないのです。コミュニケーションが間に入ることによって、人権侵害の概念は非常に変わってきます。

業務指導の枠の作成でパワハラに対応

 パワハラについて、部下からも上司からも共通の理解をするために、業務指導の範囲を超えているかどうか、明らかに人権・人格を否定しているかどうかなど、そのようなレベルでいいので、業務指導の範囲については皆さんの方でもう少しブレイクダウンして、職場に合ったものを文面として入れながら、やってはいけないことの業務指導の枠を作成してください。
 このような取り組みでパワハラの対応はかなりできるはずだと思います