第3回メンタルヘルスセミナー「いま、企業に求められるメンタルヘルス対策とは」

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第3回ダイヤル・サービス メンタルヘルスセミナー
「いま、企業に求められるメンタルヘルス対策とは」
~積極的な予防型メンタルヘルス~

「いま、企業に求められるメンタルヘルス対策とは」

~積極的な予防型メンタルヘルス~

講師略歴 講師  山本晴義先生
横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長
ダイヤル・サービス(株)「メンタルヘルス・ホットライン」アドバイザー

メンタルヘルスは、治療から予防へ

 私は横浜労災病院の心療内科医をしております。また、メンタルヘルスセンター長として、「治療から予防へ」という未来志向で健康づくりを目指す、予防的な仕事もしています。
 10年、20年前とは違う労働環境にするべく、厚生労働省がメンタルヘルス指針を出していますが、現実には労働環境が改善されていないところもあります。従業員支援プログラム(EAP)でいうと、ほぼ大企業を対象にして底上げはできているようですが、中小企業で働く9割以上の労働者に対して、働いてよかったという労働環境にしなくてはならないと思っています。

 心療内科に来る患者さんの多くは、職場や家庭で言いたいことが言えなくて、ストレスが溜まっています。そして、病気になるんです。肩が凝る、頭が痛い、心臓がドキドキする、胃が苦しいなどの症状は、メンタルと関係があります。うつ病や、あるいはパニック症状、あるいは拒食症などは、体の症状にメンタルな部分が出ています。心療内科医は、体の病気や体の症状を診るとき、必ず患者さんの全体像を診ます。心の面もトータルに診る内科医が、心療内科医です。精神科には抵抗がある人が多いので、まず心療内科を受診すればいいと思います。しかし、心療内科で診られないうつ病の症状もあります。自殺の危険性が高い場合は、きちんと精神科で治療をする必要があります。

3万件のメール相談から見えてくること

 平成12年からメール相談を始めました。実際に診察するわけではないので、一般論でやっていますが、あくまでも私が労災病院の医者として、相談を受けています。約3万件のメールを受けていますが、その中で得ることは大きいです。
 メールのいいところは、送った人が何時何分に私に送っているかがわかることとタイトルがあることです。「死にたいです」というメールも来ます。  銀行員の夫の過重労働を心配した奥さんからの相談もありました。
 「どれだけよい薬や病院があっても、一番大切なことは健康的な生活を自分で設計することです。無理な生活は万病のもとです。どんな病気にもいえますが、ストレスも一因のこともあります。もし会社に産業医がいるならば、ぜひご相談ください」

 職場のストレス環境の原因のひとつは、仕事量です。適度な仕事量が一番で、働きすぎたら倒れてしまいます。一方仕事量がないのもストレスです。またコントロール度も要因となります。自分の裁量権や自由度があるかどうか。歩く早さまで決められてしまうような職場は、ストレスが高まります。そのほかサポート度や、やりがいも関係します。

 今、隣の席の同僚への連絡までメールで行うような企業があります。そんな職場環境の中でメンタル面の不調を抱えている人がカウンセラーと話せる機会、また電話相談する場が用意されていたり、社会保険労務士がこういうセミナーを受けて積極的に従業員と話せるような機会を作ることが、メンタルヘルス対策にとって役立つと思います。

心の健康維持のためには、周囲のサポートが必須

 2009年も日本の自殺者の数は、3万人を超えました。
 自殺による国家的損失は1兆円、メンタルな病気による休職後、復職できないことによる国家的損失が1兆円。合わせて2兆円の損失があるといわれます。お金で人の命や仕事を換算するのはよくないですが、復職が果たせないということは、企業にとっても、労働者にとっても大きな損失なわけです。やはり職場に復職させることが大切です。

 厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針 4つのケア」を出しています。心の健康の維持は、労働者のセルフケアだけでは十分ではなく、ラインによるケア、産業医や保健師など事業場内産業保健スタッフなどによるケアも必要です。社会保険労務士の方たちも事業場内産業保健スタッフ等という立場で大切な役割を担っています。今病院を受診するよりもまず、現在の生活を正すためにも、社会保険労務士の方たちも「こういう状況で働かせられたら訴えられますよ」という話を企業の経営側にしてくださるとよいと思います

求められる職場復職の支援と環境づくり

 厚生労働省が、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を出しています。
 心の病で休む場合は、休んでいるときから復職の準備が始まります。
 職場の上司が医者とコンタクトを持てるようにするためには、患者さんを中心にして、患者さんと医者、患者さんと職場ということで、患者さんが次診察に行くとき必ずついていけるような職場環境づくりが大切です。
 大企業の患者さんには、上司や労務担当者が一緒に来ることはありますが、中小企業の人はやっぱり、逆に言われるとクビになるかもしれないということで、なかなかそういうコンタクトはないようです。
 医者が書く診断書が全てだと思って職場に復帰したが、またすぐに休まれるというケースが結構あります。医者の復職可能の診断書は、あくまでも参考意見と理解してください。
 医師の診断書をもとに、職場で復職できるかどうか判断するのです。ここで、社会保険労務士や産業医、あるいは人事・労務担当者、産業カウンセラー、保健師などの力が必要です。この制度作りは企業によっても違いますが、中小企業の場合は、ダイヤル・サービスのサービスのような外部のサポートを受けるといいと思います。

カギとなるのは、職場復帰後のフォローアップ

復職するときは、百点満点ではなく、60、70点の段階なのです。それを80点、90点にアップするのは職場の力です。どういう形で復職させるか、すなわち、アフターケア、フォローアップが大切なのです。
 心の病気で休んでいた人を、職場が温かく迎えて、職場復帰できる人がいると、周りの人が、「ああ、うつになっても復職できるなあ。俺も最近ちょっと調子悪いから早く受診しよう」になります。
 しかし、復帰した人がプレッシャーや不信感を持ってしまうと、結果的にまたすぐ休まれ、結果的に辞められることもあります。そうすると周囲が「ああ、うつになるとクビになるんだな。俺は絶対メンタルの治療は受けないで病気を治す」と考えて、医師の診察を受けなくなります。それが男性の自殺の大きな要因になってしまうわけです。  メンタルヘルス対策を行うためには、頼るところは頼って、職場としての制度や風土はきちんと作り、現実の中で活かしていっていただくことが大切です。そういう中でダイヤル・サービスの企画はいいものではないかと思います。私も応援させていただきたいと思っています。

 今回ダイヤル・サービスの「メンタルヘルス・ホットライン」のアドバイザーとして協力させていただくことになりました。日本の6千万人の労働者、またその奥にいる経営者へのサポートをしていきたいと思っています。労働者がクビを吊るような職場環境から解放するために可能な限りのことをしてまいります。機会があれば、企業を訪問して、ぜひ職場の環境も見せていただきたいと考えています。