第13回CSRセミナー「企業倫理ホットラインの役割」

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第13回 ダイヤル・サービス株式会社CSRオープンセミナー
「企業倫理ホットラインの役割」

「企業倫理ホットラインの役割」

講師略歴 ダイヤル・サービス株式会社 CSRコンサルティングG 高田奈穂子
ダイヤル・サービス株式会社が日本ではじめてのコンプライアンス窓口のサービスを始めてから 5年余が経ちました。 セクハラホットライン、企業倫理ホットライン等合わせて400社強の企業様にご利用いただいておりますことを、心から感謝しております。

企業倫理ホットラインを立ち上げた経緯

 一件の内部告発によって、不祥事が明らかになり企業の存続も危ぶまれるようなことが2002年あたりから目立ち始め、その影響の大きさに皆が気付き始めたころ、ある企業から外部窓口の機能を生かして企業倫理的な問題に対応できないかというオファーがあったことがきっかけとなりました。

 私たちにすぐにでもできること、お役に立つことは何かを考え、数年後に施行される「公益通報者保護法」にも則るよう、弁護士にも相談しながら、2003年1月に内部通報の外部窓口として急いでスタートいたしました。

 不祥事が起きた原因はいくつかあると思いますが、一つにはコンプライアンス意識が従業員全員へ浸透していないことが上げられます。
また、トップが社内情報を事前に把握する体制が整備されていないために、告発リスクを抱えていたのではないかと考えられます。 特にここ数年の食品関連の不祥事は、ほとんど全てが内部告発ということが特徴でした。

 「行政機関における公益通報者保護法の施行状況調査について」(内閣府国民生活企画局2008年発表)によると、労働基準法に対する通報4775件も含めて5192件の公益通報が各行政機関にありました。
各企業による内部通報制度の整備がさらに求められているといえます。

企業倫理ホットラインの役割

内部通報制度を要請している主な法律は、
1,公益通報者保護法(2006年施行)、
2,会社法(2006年施行)、
3,J-SOX法2008年施行の3つです。

 内部通報制度は企業の体制のなかで重要な役割を持つようになりました。
しかし現状では、通報制度は作ったが、通報窓口が社内だけ、外部窓口といっても顧問弁護士さんに任せることが多く、通報が入りづらい制度のままとなっていることが多いのだと思います。

 問題が小さいうちにすばやく情報があがってきて、社内での解決に結び付けられることが重要なのです。 そこで、従業員が利用しやすい、敷居の低い窓口が必要となります。 会社の内部に通報できない立場や通報しづらい状況におかれた方々の通報を埋もれさせないことが私どもの使命だと思っています。

 企業倫理ホットラインサービスを開発する際に、法令違反の通報もあることから弁護士さんに対応してもらうかどうか検討しました。 しかし、通報者の不安な気持ちを受け止め通報を埋もれさせずに企業に正確につないでいくためには、プロの電話カウンセラーが適任と判断しました。 経験を積んだ電話カウンセラーが、中立的、第三者的な立場で、通報することへの迷いや不安を受け止めつつ、企業への通報を後押しする機能を担っています。

 もちろん通報者がその場でカウンセラーに言ったことを何でも会社へ伝えるかというとそうではありません。 通報者の意向やプライバシーを最大限尊重したうえで、企業への報告書を作成しています。 このため通報者にとっては、自分のプライバシーが守られる窓口として安心してご利用いただくことができます。

 その結果、私どもの窓口が他のヘルプラインやホットラインと違う一番の特徴として、通報の約8割が電話で入ります。 これは他の業者さんや弁護士さんの窓口には見られない傾向です。 電話は双方向のコミュニケーションを行うため、通報者の気持ちを受け止め、通報したい事、通報に至った背景、職場の問題点などの情報をその場で引き出すことができる非常に有効なツールだと思います。

企業倫理ホットラインの利用状況

 企業倫理ホットラインのしくみですが、対象者として契約会社の役職員、退職者、取引先など、あらゆる方を想定しています。 受付窓口は電話とWEB、FAXで幅広く受け付けます。
 間に入っている企業倫理ホットラインでは、契約会社へ通報をつなげる役割に徹していますので、通報への判断や回答はいたしません。会社には通報に関する報告書を翌営業日のうちにスピーディーにお渡しいたします。
 また、会社に対して実名で名乗る方には、会社内で作成した対応報告書を郵送する機能も持っています。

 現在「企業倫理ホットライン」を導入していただいている企業様は110社ほどです。
業種の割合は、製造業(食品・医薬品・機械などふくむ)約43%、情報通信関連が21%、金融保険関連が8%、流通関連が7%です。 その他自治体や派遣業界、運送業界など幅広い企業様の通報を受けております。

 ここ3ヵ月の通報内容ですが、職場の人間関係に起因するパワハラ、セクハラなどが多く31%、人事労務関係が18%、職場のハード面での環境、分煙等に関するものが15%、不正や違反に関する内容が合わせて20%でした。
他に通報内容はまだ会社に伝えられないが、外部窓口を通じてどういう風に会社に伝えられるか、自分は守られるのか、といった問い合わせが16%くらいあります。 相談方法は、この3ヵ月の統計では、電話が75%、WEBが22%、FAXが3%でした。 利用時間ですが、本来もう少し遅い時間帯に入ることが多いですが、この3ヵ月は、5時台27%、6時台19%、7時台が19%、8時台が16%でした。 WEBやFAXは、ほとんどが深夜に入ってきております。

 通報者の内訳として正社員と非正社員を比べてみますと、非正社員の多さが目立つ結果でした。
正社員は31%、パート、派遣等32%、退職者3%、家族からが3%。そのほか30%は立場を伝えたくないということでした。
男性が40%、女性が60%。実名が30%、匿名が70%ほどでした。
これ以上に実名率が高くなることもあり、また30%以下には下がりません。
電話カウンセラーが対応することで、通報制度への信頼を持ってもらうことができ、匿名希望の通報者が実名で通報してほしいと変わることがよくあります。

今後に向けて

 最後に私たちが今課題の一つと考えているのが、中小企業が会社と社員をどう守るかということです。 最近の不祥事は中小企業にも広がっています。
「民間企業者における通報処理制度の実態調査報告書」(内閣府国民生活局 調査時期2007年2月)によりますと、通報制度の導入割合は、上場企業の場合は70%ですが、現在導入していない場合でも、これから検討するという企業が多くなっています。
 しかし、中小企業の場合、50%が今後も導入しないと回答しています。
組織の大小に関わらず、問題が全くないという企業はないと思っております。
それをいかに早い段階で社員と経営陣が共有して改善していけるか、そのスピードが大切なのだと思います。
そのために企業倫理ホットラインを、より多くの企業の方々にご利用いただけるよう、皆さまからも是非お知らせください。